コラム

RFPの作成には、ちょっとしたコツがある?

RFPの目的

RFP(提案依頼書)の目的は一言でいえば、より良いシステム提案を導入ベンダーから引き出すことにあります。また副次的な効果として、RFPの作成過程における現状調査やTo-Be策定タスクの成果物が、新システム導入の稟議の際に必要となる社内の合意形成に役立つことがあります。

より良い提案を導入ベンダーから引き出すためには、必要最低限なポイントに絞ってシンプルなフォーマットで要求事項を文書化することが必要です。要求事項は要件事項とよく混同されがちですが、RFPに記載するのは要求事項であって、要件事項ではないことに注意が必要です。要求と要件は一字違いですが、そのもつ意味は大きく異なります。

では今一度、ここで要求事項と要件事項について説明させていただきます。

要求事項=利用者がシステムに何を求めるかを明確にした項目のことを指します。RFP作成時に実施するタスクは要求定義と呼ばれ、要件定義とは呼びません。要求をするのはシステムの利用者であり、利用者がシステムに求める項目が要求事項となります。またRFPには、ベンダーからベストな提案を引き出すために、具体的なソリューションは記載しません。

要件事項=システムが実装すべき機能や満たすべき性能を明確にした項目のことを指します。要件事項の洗い出しはRFP作成時に実施するものではなく、導入プロジェクト開始後に実施します。これを要件定義と呼びます。要件定義はシステムが利用者の要求に応えるために行うタスクであるため、具体的なソリューションを決めてから、要件を決めていきます。その際に注意すべきは、ソリューションのメリットを最大限享受するために要件定義を実施することです。詳しくは共著「経営のイロハをDX化する「開発しないシステム」導入のポイント―パッケージで、管理業務を早く・安く改善」(中央経済社)をご一読いただければと思います。

よく見られる悪い例として、要求事項ではなく要件事項をRFPに記載してしまっている例があります。安くない費用を使ってコンサル会社に依頼して作成されたRFPの添付資料には、こと細かな要件事項が1000行を超えるExcelにまとめられているのが特徴です。提案を依頼されたベンダーは、そのExcel表の右端に〇か×を入力して、コメント欄には「詳細については要検討」などと記入します。しかし実際はほとんどの項目には〇がつけられています。RFPに回答してきたどのベンダーも、自分たちの提案を落とされないように、すべて〇で回答するからです。(当社は違います)

このように要求を明確にせずに先に要件を決めてRFPに記載してしまうと、結果的にはベンダーからよりよい提案を受けることができません。RFPに要件事項を事細かく記載してしまっている以上、新システムは現行踏襲型となってしまう恐れもあります。これでは、新システムの提案を受けたくてRFPを発行したにもかかわらず、提案が現行踏襲されたものとなってしまって目的は達成されずに、本末転倒となってしまいます。

RFPに記載すべきポイント 

RFPに記載する項目は何か? よく聞かれる質問です。まずはRFPに最低限記載すべきポイントとして、次の5つを挙げさせていただきます。

①目的・ゴール=何のためにシステムを構築するのか?システムを構築し、何を達成することで成功とするのか?を明確に記載します

②対象範囲=システム構築の対象範囲はどこになるのか?システム構築の対象範囲外との境界はどこになるのか?を明確に記載します

③要求項目=現状のシステム課題を解決する改善策は何か?将来を見据えた、自社に最適なシステム化方針は何か?を明確に記載します

④開発体制と役割=自社の体制と役割は何か?導入ベンダーに求める体制と役割は何か?を明確に記載します

⑤本番稼働時期=システムの本稼働の時期はいつか?本稼働に至るまでのマイルストーンはいつか?を明確に記載します

先にも述べましたとおり、詳細なRFPの記載はベンダーの提案の幅を狭めてしまう恐れがありますが、これら5つ以外にプロジェクトリスクを回避するために必要な項目があらかじめわかっている場合は、必ず記載するようにしてください。

また肝心の要求のまとめ方としては、まずは業務内容を業務一覧のかたちで整理し、その横に要求を細分化しすぎないように記載します。具体的に言いますと、業務内容を業務一覧の左端に表記の粒度を大>中>小で分類し記載します。この分類によって業務を体系化することができ、モレなくダブリなく業務を洗い出すことができます。そしてその右横に業務内容に沿って要求事項を記載します。また何度も言いますが、業務一覧上では要求は細分化しすぎないように注意してください。細分化しすぎると、ベンダーからの提案の余地を狭めてしまうこととなります。

さらに要求事項は、現場だけでなく経営者やマネジメント層にもヒアリングすることが必要です。現場ばかりにヒアリングしてしまうと、要求は現場が担当する現場課題を解決するものに限られてしまうからです。マネジメント層にヒアリングすることで、要求は部門全体や取引先に関する課題を解決するものに広がる可能性があります。また経営層にヒアリングすることで、要求は会社全体や所属する業界に関する課題を解決するものに広がる可能性があります。このように、現場→マネジメント層→経営層とヒアリング対象の階層を上げることにより課題の視座が高まり、結果として経営に役立つシステム像を描くことができます。但し、ヒアリングの順番としてはこれとは逆で、まずは経営層から実施し、その後マネジメント層、現場への順番に下の階層に降りる方法が有効です。まずは経営層やマネジメント層の課題をヒアリングすることで、現場の課題をヒアリングした際に膨大にでてくる課題を整理する際の羅針盤となるからです。

現場課題というものは、玉石混合です。現場課題をヒアリングするには現場ごとにセッションをすることとなりますが、そこで出される課題は業務担当者個人の問題であったり、単なる帳票や画面のレイアウトの問題であったりして、拾い上げればきりがない類のものが混在します。もちろん中には経営に直結するような鋭い指摘もでてきますが、そういった経営課題に直結するような課題を拾い上げるためには、現場より先に経営層やマネジメント層にヒアリングしておくことです。現場から出てきた業務課題、システム課題のうち、経営にインパクトのある課題と、経営には直結しないが現場では常に課題として認識される課題を拾い上げることとし、これら以外の現場課題は拾い上げないというスタンスで要求事項をまとめてください。

要はRFPに記載する要求事項をまとめる上で前提となる現状課題を整理するにあたっては、経営課題を軸にした課題を拾うものとし、現場課題を詳細に拾い上げないことがキーポイントとなります。

システム化方針の策定について

システム化方針のまとめ方は、今まで申し上げた要求から落とし込むだけではなく、想定するパッケージのもつ特長を生かした整理方法が必要です。そうすることにより、パッケージの持つ標準機能を最大限利用した提案を受けることができ、その結果ムダなアドオンを排除し、想定するパッケージからの付加価値を最大限享受できることとなります。

要求事項からシステム化方針を落とし込むだけでは、新システムは自社要求レベルにとどまり、アドオンも発生してしまいがちです。しかし想定するパッケージのもつ特長を生かしたシステム化方針とすれば、そのパッケージの持つ特長を最大限に生かすことが可能となり、長期にわたり保守運用で苦しんできたアドオンが必要な業務自体も廃止することが可能となります。結果として企業全体の業務効率化が実現し、しかも要求にはない付加価値をも享受することができるのです。

したがって、システム化方針を策定する際には、すでにある程度、導入しようとするパッケージの想定を行っておく必要があります。その想定もしないで、ゼロベースでパッケージを選定しようとすると必ず失敗します。なぜなら、提案書の比較が難しくなってしまうからです。またパッケージだけでなく、スクラッチ開発や現行システムのコンバージョンも想定対象にしてしまうと、導入ベンダー選定の際に何を基準にして選定すべきか、わからなくなってしまい、横並びでベンダーの選定ができなくなってしまいます。結果として、一番導入費用の安いベンダーの提案を採用することとなり、そもそも実現したかった目的が達成できないといったことになりかねません。

ERPの導入に関して言えば、想定する新システムはオンプレかクラウドか?といった問題がありますが、誤解を恐れずに申し上げるとすれば、今はクラウド一択ではないかと思います。クラウドにはオンプレにはない以下に挙げる様々なメリットがあります。

迅速なシステム構築が可能=クラウドを採用すれば、ハードウェアの調達が不要となります。利用量に応じて自動的にリソースを割り当て課金する仕組みにより、システムを追加構築したり容量を拡張したりする際の迅速性、拡張性に優れたメリットを享受することができます。

初期費用・運用費用の削減=自社でシステムを資産として所有しないことにより、初期費用や減価償却費を削減できます。また、保守運用をクラウドベンダーに委託することで、人件費も削減できることとなります。(労務関連法規に触れないよう、留意が必要です)

可用性の向上=セキュリティ対策やバックアップ、バージョンアップなどをクラウドベンダーが行うため、自社サーバーのみで運用する場合に比べると、可用性が向上します。

利便性の向上=ネット環境があれば、場所や利用するデバイスを問わずシステムを利用することが可能となり、ユーザーからみた利便性が向上します。(社員に対するセキュリティ教育が前提となります)

クラウドは、基幹システムの運用コストを削減し、月額利用料という形でコストの見える化や、情報システム部門の運用保守負担を軽減することが可能となります。

RFP作成支援サービスのご案内

当社イデア・コンサルティングでは、2010年よりビジネスを開始して以来、数多くの基幹システム導入の経験を積み重ねて参りました。特に中堅企業様を対象とした基幹システムの構築においては、圧倒的な技術力と実績を持ち、クラウド、データ分析、仮想化技術の各分野で、お客様の課題を解決するためのコンサルティングからシステム導入、運用支援までのサービスを一貫して提供しています。

お客様が基幹システムの構築を行う際に、最初に着手しなければならないRFPの作成をサービスとして提供させていただいています。特に中堅企業様を対象に、テーラーメイドなきめ細かなRFP作成支援サービスを提供させていただいています。ご興味をもった方は、「サービス/商品に関するお問い合わせ」よりお問い合わせをお願い申し上げます。