コラム

短期間・低コストで実現できる 
SAP ERP保守延長サービス

SAP ERPの保守切れ対応としてS/4HANAへの移行以外にも、いくつかの選択肢があります。その中でも、EhP(Enhancement Package)のアップグレードによるERP6.0の保守延長サービスが注目を集めています。当コラムでは、短期間・低コストで実現できる保守延長サービスについて解説いたします。

SAP ERPユーザーの悩み

国内2,000社と言われるSAP ERPユーザーが、2025年に迎える保守切れ問題に直面しています。回避策としてSAP社はS/4HANAへの移行を推奨していますが、そもそもS/4HANAへの移行についてハードルが高いと感じているユーザーも少なくないようです。

ハードルが高い理由として、ユーザーから次のような声があがっています。

「今のシステムはアドオンが多くプログラム改修やテストなど、移行コストが高くついてしまう」
「SAPコンサルタントが不足しているため、引き受けてくれるベンダーがいない」
「そもそも今のシステムで満足しているし、S/4HANAの新機能はとても使いこなせない」

またSAP ERPを運用するインフラ基盤についても、保守切れ問題に直面しているユーザーがいます。2015年以前にSAP ERPを導入したユーザーのほとんどがオンプレサーバーを基盤としており、2020年を過ぎる頃からサーバーの保守切れが発生していますが、同時にOSやDBのバージョンアップも必要となっています。

S/4HANA移行以外の選択肢

こういった悩みを抱えるSAPユーザーにとっては、SAP ERPの保守切れ対応としてS/4HANA移行以外の選択肢も検討の対象としなければなりません。選択肢として考えられる対応方法としては、SAP ERPの保守延長となるEhPのアップグレードや、Oracle ERP Cloud などの他ERPへの移行、またRimini Street などのサポート専業ベンダーへの保守切り替えが考えられます。(図1)

これとは別に、SAP ERPを運用するインフラ基盤であるオンプレサーバーの保守切れをきっかけに、運用コストを圧縮するためにインフラ基盤のクラウド移行を検討しているユーザーもいます。SAP社ではHyperscalerとして主に、AWS、Azure、GCP を推奨 IaaSベンダーとして認定しています。また、SAP社が提供するPaaSのマネージドクラウドサービスとして、SAP HANA Enterprise Cloud (HEC)も提供されています。詳しくは、SAP Note #1380654をご参照ください。

EhPのアップグレード+クラウド移行でユーザーの悩みを低コストで解決

こうしたSAPユーザーのニーズをくみ取り、当社では、EhPのアップグレードとクラウド移行の両方に対応したサービスを、SAPユーザー様にワンパッケージで提供しています。

SAP ERP6.0 の2025年保守切れ問題に対しては、EhP(Enhancement Package)6以上の適用により、2027年まで延長されます。また、EhP6以上の適用と同時に延長サポート契約を締結すると、2030年末まで延長されます。(図2)

そもそもEhPとはSAPのパッチ適用のひとつであり、他にもSP/SPS、SAP Note が存在します。その中でもEhPのアップグレードのみが、標準保守期間を最長2030年まで延長可能とすることができます。このEhPアップグレード作業に伴って、移行先環境でのOS/DBの最新化やアドオン改修作業が発生します。また、S/4HANA移行を前提としたアップグレード場合、 Unicode化、SAP HANA DBの導入及び、OSのLinux化が必要となります。

クラウド移行に関しては、例えばAWSではサポート対象となるOS、DB、SAPのバージョンなど製品の組合せについて、SAP Note #1656099 で定義されています。また、AWS上のSAP製品サポートの前提条件についてはSAP Note #1656250で定義されていて、AWSサポート契約(AWSプレミアムサポート)が必要となります。

Panayaによる事前アセスメントで迅速・安全に移行を計画する

EhPのアップグレードに関しては、事前の影響分析(アセスメント)作業が重要となります。このアセスメント作業をツールを利用せずに人手で実行するとなると、多くの工数とコストがかかってしまいます。そこで当社ではSAPの移行専門ツールである Panaya を活用して48時間以内にアセスメントを完了するサービスを提供させていただいています。

PanayaとはSAP, Oracle, 及びSalesforceといったエンタープライズ・アプリケーションの移行に特化した移行専門ツールであり、グローバルで3,000社以上の顧客、5,000以上のプロジェクトの成功に貢献しています。また日本では2009年にビジネス開始以降、300社以上の顧客にて実績があります。

Panayaでは独自の影響分析エンジンにより、48時間以内に影響分析のシミュレーションが実施可能となっています。EhPアップグレードをこれから検討されるお客様には、Panayaによる無償アセスメントサービスを提供させていただいています。お客様のシステム情報をアップロードするだけで、分析結果が48時間以内に完了し、EhPアップグレードにおける修正箇所数、想定工数などが確認できます。(図3)

移行後のAMOサービスにより保守切り替えも可能

SAP ERPユーザーの中には、導入ベンダーの高額な保守コストに悩んでいる方もいらっしゃいます。インフラ基盤のクラウド移行の際には、当社でSAP保守の引継ぎも同時に行い、AMOサービスとしてご提供することも可能です。

AMOサービスにつきましては、問合せや障害対応、システム稼働モニタリングといった基本メニューだけでなく、仕様変更・アドオン改修も含めて、お客様のニーズに応じたきめ細かなサービスをご提供します。

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